【遊戯王だけ考察する世界】田舎デュエリストブログ

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【一緒に見える】将棋とTCGの違い【遊戯王】

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よくTCGの難易度や敷居の高さを語る際に将棋が例えとして使われます。

・実力勝負が好きなら将棋をやればいい

・将棋は上手な人がフィーチャーされている

 

など、TCGの諸問題を解決したいときに、将棋を見習っては?というような流れがあります。

実際、将棋とTCGは別物ですので、なんでもかんでも将棋から持ってこようとすれば、TCGの良さが崩壊します。

※私SOHは将棋ウォーズというアプリで1級になるまで遊んでいるくらい好きで、そこそこ将棋の知識があります。もちろんTCGも好きなので、今回記事にしました(*'▽')

将棋とTCGの違い

5項目で比較します

①運要素

②デッキが強すぎ

③ビジネスモデル

④歴史

⑤使いたいキャラクター

 

①運要素

 将棋は先手が有利と言われていますが実際にはほぼ互角です。例えば羽生先生に私が先手で何回挑んでもほぼ確実に勝つことはできません。

 それに対してTCG。ものによりますが、例えば遊戯王世界大会2018年チャンピオンのジア・チン・ワン氏に私が何度か勝負を挑めば、何度かは勝利できると思います。マッチ戦となれば勝てる確率が格段に下がりますが、シングル戦であれば、運しだいで勝てます。

 ここが将棋とTCGの運要素に関する違いです。将棋はまじめにやり続ければ、職場のおじさんクラスなら完勝できます。しかしTCGの場合はいくらがんばっても、職場のおじさんクラスの人に負けます。

 ここに関していつも運要素がつまらないという議論が巻き起こります。

 遊戯王にせよデュエマにせよヴァンガードにせよ、運要素を無くすことは、メーカーからしてみれば簡単な作業でしょう。しかし誰もがそれをやりません。そこにはちゃんとした理由があります。私の推察では・・。

パーティーゲーム的要素+見える化された戦術性のあるゲーム性+運が絡んだギャンブル的楽しさ

だと思います。人生ゲームやUNOのようなパーティーゲームに近ければ、みんなで集まってわいわい遊べます。何か探求したりしたくなるのが人間。見える化された戦術性のあるゲームデザインは、子どもも大人も熱くなれます。運が絡んでいないと単調になってきてテンションが下がります。そこで、ガチンコジャッジとかトップ解決とかの運+構築力という絶妙なラインの運ゲーをプレイさせるのですね。

 将棋にはこれら3つの要素はありません。数式のような何個かのコマを動かしたり組み立てたりして、能動的に楽しみます。メーカー(ではないけど)が何かこうしてくださいとユーザーにお願いすることは無く、ただ強くなっていくだけの遊びです。

 逆にTCGは受動的に楽しむとも言い換えることができますね。新パックを楽しんだり、メーカーの指示通りにデッキを組んだり(サイバース族とかオルターガイストなどのデザイナーズデッキ)と、受動的です。これは次の「デッキが強すぎる」にもつながってきます。

②デッキが強すぎる

 将棋にもデッキがあります四間飛車居飛車穴熊など、先人たちが考えた戦法がいろいろあります。実際、ノー勉強でやるよりは格段に勝率が高まるので、やはり、TCGで言うところのデッキに相当するとは思います。三間飛車おすすめ!

 TCGにはデッキが山ほどあります。全通り試すのは人間にもAIにも不可能なくらいのパターンが存在しています。しかし、前述のデザイナーズデッキは、プレイヤーに選択の余地を与えません。例えばオルターガイストマリオネッターだけをデッキに入れていて罠が1枚も入っていないというのでは弱いデッキですよね。つまり、メーカーによってあらかじめ使ってほしいカードを決められています。ここも問題点としていつも議論されています。

 シリーズものは売れるのでしょうがない部分もあります。1パック買って、オルターガイストマリオネッターが出れば、他のオルターガイストが欲しくなり、もう1パック買いますので。

 商売として成立していないとサービスを続ける意味が無くなるので・・。

③ビジネスモデル

 将棋は、例えるならばユーチューバーです。というのも、売っているものは将棋盤ではないからです。テレビ中継での広告、本などなど、人気棋士をフィーチャーして世間の注目を集め、広告収入で儲けを出していきます(厳密にはテレビ局との契約料)。また、教室・指導対局(ユーチューバーで言えばオフ会)、イベント参加料などでも稼ぎます。

 TCGはいずれも対照的です。まず基本的にカードを売ります。それに、今のところは、プロプレイヤーに注目を集める動きは強まっていません。

 しょっちゅう上がる話題で、「プロプレイヤーを宣伝して」とか「Eスポーツ化して」などとよく言われています。

 しかし動き出しているTCGはごくわずかで、主流ではありません。

 なぜプロを作らないのかを私なりに推察すると・・。

・よほどストイックじゃない限りは勝率で生きてない人が多い

・遊びの延長に見える

・家族や親せきが必ずしも応援してくれない

 勝率が55%だろうが20%だろうが、勝ちは勝ち、負けは負けと考えている人はかなり多いです。ですから、優勝者や上位者を見ても、「ジャンケン王でしょ」と、あまり尊敬してもらえないケースが出てきます。これではプロプレイヤーのお膳立てをしても投資失敗になります。

 美少女のイラストやドラゴン・かわいい動物などのカードで、いい大人が対戦するのですから、客観的に見て、真剣さが伝わりません。遊びの延長に見えるのは仕方ないです。

 その影響もあり、家族や親せきなどに自信を持って「俺、プロになるんだ」と言える競技とは程遠いものに違いないです。客観的に見て。

 しかし、世間の目というものは時代とともに変化していきます。将棋とTCGは、本質的には大きく違わないように見えますが、なぜ世間の評価がここまで違うのかというと・・。

④歴史

 将棋の歴史は長いです。TCGは戦後にできていますから短いです。遊戯王世代は20~30代くらいですから、徐々に親がやったことあるゲームになっています。

 しかし、ピアノやテニスに難色を示す親は少ないですが、やはりゲーム系に対しては理解してもらえない可能性が高いというのも事実です。

 なぜか、将棋=ゲームではないような気がする、というイメージが世間全体にあるため、「俺、将棋がんばる」という子どもを応援してくれる親は多いでしょう。

 角とか飛車とかって、たしかに真面目な感じがしますよね。

 かといって、じゃあTCGのカードのデザインを、サムライ(小)とか、お殿様(赤)とかの記号っぽくすればいいのかというと(もっとなんかあるだろ笑)、それも違いますよね。だってそんなカードいらないですもの(笑)。

 TCGは前述のとおり、まず大前提カードを売る必要があるので、真面目さを演出する=死となってしまうのです。

使いたいキャラを使いたい、犬とか女の子とかドラゴンとか・・。

⑤使いたいキャラクター 

 将棋にも、自分で選択してというか憧れて、キャラクターを使うことができます。例えば、藤井先生が好きな場合は、藤井先生が好きな振り飛車でがんばろう、とか、一応、憧れの先生ごっこができます。しかし、犬とか女の子とかドラゴンっぽく将棋を指したいというのはちょっと難しい話になってきます(笑)。※アプリの将棋ウォーズでは、四間飛車を指すと竜が画面に出て来たり、美濃囲いを作ると美女が画面に表示されます。

 TCGはほぼ確実に、自分の願望を叶えることができます。ごっこ遊びの最高峰です。犬が好きなら、犬デッキ。ドラゴンが好きならドラゴンデッキ。美少女が好きなら閃刀姫。

 この辺は非常に重要な要素で、人の夢を叶える商売、と考えたときには、将棋とTCGが全くの別物であるようにも見えてきます。

 将棋でも、デザイン変更とか。飛車がイケメンで角が美少女など、あるのかもしれませんが、テレビ中継や雑誌などにそういった流れは見られません。

 

 

さてまとめです。

将棋には将棋のやり方、TCGにはTCGのやり方があります。

ごちゃ混ぜにして議論をしてしまうと、目的地まで遠ざかってしまうと思うので、やはり何が共通で何が違うのかは大事かなと思いました。何かの参考になれれば幸いです(*'▽')

 

記事作成者 SOH